医療法人は、会社などの営利法人とはちがって、営利を目的とすることができず、配当をすることはできません。
医療法人は出資の態様により、財団医療法人と社団医療法人に分けられます。
社団医療法人は医療施設の開設を目的とした人の集合体に法人格が付与されたものです。
法人の資産は、社員の出資からなり、出資持分の定めのあるものと、出資持分がないものとあり、第5次医療法改正(平成19年)以降は出資持分のない法人のみ設立できるとされました。
医療法人の設立には、都道府県知事の認可を受けなければいけません。
多くの個人開業ドクターが、お考えではないでしょうか。
一般的に、法人成りの検討は、事業上の必要性、運営管理、税務上の取扱い、事業承継という4つの観点を中心として、メリット・デメリットを比較検討していく必要があります。
医療法人にするかどうかの検討も、この基本的な考え方は株式会社への法人成りと変わりませんが、株式会社と医療法人は、その制度において大きく異なるところがあります。
節税面ばかりが強調されがちですが、デメリットについてもしっかり理解し、法人化されることをおすすめします。
個人では認められていない分院開設が可能になります。さらに、医療法人化により、今後ますますの需要拡大が期待される老人保健施設や訪問看護ステーションなど介護・福祉分野へ参入できます。
個人開業時に院長に集中した収入を医療法人、ご家族に分散させ、個人の所得税・住民税、法人税・法人住民税との併用で節税メリットが得られます。
院長の中にはご子息も同じく医療の道に進まれ、いずれは病院・診療所を継ぐという方も多いかと思いますが、個人開設の場合は、院長が廃院をしてからご子息が新たに開業・開設の手順をふまなければなりません。
また、財産継承の面でも、一部ずつ資産を譲渡・贈与することは実務的には大変な手間がかかります。
社会保険診療報酬支払基金の受取時に源泉徴収されないために資金繰り負担が軽減されます。
院長個人と病院・診療所の経営を分離することにより、たとえば借入の際に院長個人ではなくて医療法人として対応することになります。
医療法人は「非営利性」を求められるため利益金の配当はできません。利益剰余金は医療充実のための設備投資や退職慰労金の原資となります。
医療法人は設立後に定期的な届出が必要になりますので事務手続きが増加します。
個人開設の病院・診療所では従業員5人以上で健康保険や厚生年金など社会保険の強制加入でしたが、医療法人の場合は院長も含め 常勤(労働日数が3/4以上)の従業員は社会保険に加入しなければなりません。
医療法人設立は都道府県に申請します。
申請の流れは都道府県によって若干異なりますが、1次受付(素案提出・事前協議)から設立認可までに4~6ヶ月かかります。
特に気をつけなければいけない点は、申請は随時受け付けているわけではなく、年に2~3回しか申請できないということです。
たとえば、3月初旬に仮受付だと6月に本申請、8月の中旬頃に設立認可となります。仮受付・素案提出から本申請の間に担当部署と打ち合わせを行い、都道府県や政令指定都市によっては院長との面談があります。
実務的には大家さん、金融機関やリース会社、ディーラー等との打ち合わせや資金計画、拠出財産の調整など申請の事前準備が重要ですので できるだけ余裕を持って計画するのが望ましいです。
「医療法人化」がゴールではありません。
そのため、短期的なメリット・デメリットの検討だけで、大事な法人化をドクターに判断してほしくはありません。法人化は、ドクターご自身の理念・ビジョンを実現するための手段と考えています。
法人化をされたあとも、節税のためには計画的にコントロールしていく必要があります。医療法人設立の実務経験、設立後の税務ともに知識も経験も豊富な土方奈緒税理士事務所で、医療法人設立シミュレーションをお気軽にお試しください。
当事務所は客観的立場から、ドクターのお考えを伺い、より最善のアドバイスをさせていただきと考えています。
各官庁への書類作成・提出について、個々の場合の費用は以下のとおりです。
書類作成・提出など | 料金 |
医療法人設立許可書類作成・提出から登記申請まで | 500,000円 |
保健所への診療所開設届の書類作成・提出 | 100,000円 |
厚生局への保健医療機関関係書類作成・提出 | 100,000円 |
※単位:円(税別)
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